スペインの青年へ

トロツキー/訳 湯川順夫

【解説】本稿は、アメリカ共産主義者同盟の青年グループである「青年スパルタクス同盟」の月刊誌『ヤング・スパルタクス』1933年3月号に掲載されたものである。

 本稿の最初の邦訳は『トロツキー著作集 1932』上(柘植書房新社)であるが、今回アップするにあたって、『スペイン革命 1931-39』(パスファインダー社)所収の英語原文にもとづいて再度チェックし、部分的に訳文を修正している。

L.Trotsky, To the Spanish Youth, The Spanish Revolution 1931-39, Pathfinder Press, 1973.


 親愛なる同志諸君。

 諸君が独自の新聞の発行に取りかかっていることを知り、たいへん嬉しく思います。青年を教育しない革命的潮流は失敗に終わります。現在の世界において、共産主義は、その完全な実現のために多くの世代を必要とする唯一の壮大な目標課題です。プロレタリア革命は世代間の連続性を必要とします。この連続性を保証することは青年の任務であり、つまりは諸君の任務なのです。マルクス主義はそのための方法を示しています。

 マルクス主義の力は科学的理論と革命的闘争を統一している点にあります。この二つの線にそって青年共産主義者の教育を進めるべきです。革命的闘争の外部でマルクス主義を学ぶなら、読書家はできても、革命家は育ちません。革命的闘争に参加してもマルクス主義を学ばないなら、必然的に危険に見舞われ、不安定さと手探り状態に陥ることになります。マルクス主義者としてマルクス主義を学ぶことができるのは、労働者階級の生活と闘争に参加することによってのみなのです。革命理論は実践によって検証され、実践は理論によって明確になります。闘争をつうじて獲得されたマルクス主義の真理のみが血肉となるのです。

 数日前にソヴィエト連邦から受け取った手紙によれば、途方もない迫害、逮捕、追放にもかかわらず、新しい組織と新しい左翼反対派(ボリシェヴィキ・レーニン主義者)グループがあらゆる工業中心地において――とくに青年のあいだで――形成されているそうです。革命理論に支えられているかぎり、いかなる弾圧も革命的連続性を絶つことはできないのです。

 諸君の新聞が理論と実践を統一するという自らに課された任務を首尾よく達成することを私は心から願っています。これは容易なことではありません。諸君は誤りを犯すでしょう。しかし、若干の革命的経験を持っているわれわれ年長者も、しょっちゅう、必要以上にさえ誤りを犯しているのです。諸君は自分たちの誤りから学ぶでしょう。第2歩、第3歩は第1歩よりも確かなものとなるでしょう。

 私は、われわれの同志である幾千のロシアのボリシェヴィキ・レーニン主義者、工場や鉱山で闘争を展開しその多くがスターリニスト官僚の監獄や流刑収容所に追放されている彼らを代表して、スペインの青年プロレタリア共産主義者に心からのあいさつを送ります。

敬具

L・D・トロツキー

1932年6月13日

『スペイン革命 1931-39』(パスファインダー社)所収

『トロツキー著作集 1932』上(柘植書房新社)より

 

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