総括と展望

革命の推進力

トロツキー/訳 西島栄

1919年版『総括と展望』

【解説】本書は、1905年革命を総括し永続革命の展望を体系的に展開したものとして、トロツキーの最も基本的で代表的な著作の一つである。

 本書は、最初、1906年に出版された論文集『われわれの革命』の最終章として出版された。この「総括と展望」に至るまで、トロツキーはさまざまな機会に自らの永続革命的展望を執筆・発表しており(たとえば、『ラサール陪審法廷演説』のロシア語版序文、マルクスの『フランスにおける内乱』のロシア語版序文など)、「総括と展望」はそうした一連の理論活動の集大成ともいえ、表現上・内容上も、先行する一連の論稿と一部重なっている。(右の写真は1919年版の『総括と展望』)

 1906年に出版された本書は、しかし、その後、独立した著作として再刊されることなく、1917年のロシア革命を迎えた。革命後、この「総括と展望」は1919年になってようやく、単独のパンフレットとしてロシアで復刊されることになった。その際トロツキーは新しい序文を付している。

 今回、翻訳したのは、本文については1906年に出版された『われわれの革命』の最終章に収められたものであり、1919年版序文については、1919年発行の『総括と展望――革命の推進力』に収録されたものである。ただし、1919年版は、本文について多少、1906年版と相違がある。トロツキーは、1906年のものをそのまま印刷に付したと1919年版序文で述べているが、おそらくは編集者のミスで、一部、文章が抜け落ちたり、誤記されたりしている。また、1919年版には、さらに付録として、最終章に「権力のための闘争」が収録されている。これは、1915年に『ナーシェ・スローヴォ』に掲載されたもので、これはすでに、本サイトの1910年代前半のところにアップされている。

 本文については、すでに、1970年に出版された現代思潮社の『わが第一革命』にすでに、原暉之氏によるロシア語からの優れた翻訳が収められているが、それは少し直訳調であり、また、誰であれ避けがたいケアレスミス的な誤訳や脱漏もいくつか見られ、さらには「ヘゲモニー」を「主導権」「指導権」と訳しているので、原氏の訳を参照にしながらも、今回、ロシア語原書から改めて訳しなおした。1919年版序文については、1966年に現代思潮社から出た『1905年革命・結果と展望』に、榊原彰治、対馬忠行両氏の訳で、英語版からの翻訳が収録されているが、今回は、ロシア語から改めて訳しなおした。

Л.Троцкий, Наша революция, С.Пб., 1906.
Л.Троцкий, Итоги и перспективы:Движущие силы революции, Мос., 1919.


   第1章 歴史的発展の特殊性

   第2章 都市と資本

   第3章 1789年―1848年―1905年

   第4章 革命とプロレタリアート

   第5章 権力に就いたプロレタリアートと、農民

   第6章 プロレタリア体制

   第7章 社会主義の諸前提

   第8章 ロシアにおける労働者政府と社会主義

   第9章 ヨーロッパと革命

   1919年ロシア語版序文

 

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